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中国サプライヤーとの支払い条件:デポジット・マイルストーン・LC信用状の実務ガイド

中国サプライヤーとの支払い条件:デポジット・マイルストーン・LC信用状の実務ガイド — 記事カバー

中国からの調達において、支払い条件は単なる財務事項ではなく、リスク配分・納期安定・品質確保の根幹を成します。単価の安さに惹かれ、支払い設計を軽視すると、納期遅延・品質トラブル・資金凍結・紛争など、多大な損失を被ります。プロジェクトの成否は、資金のタイミングとルールにかかっています。

TTデポジット+残金:基本構造と失敗パターン

最も一般的な前払いデポジット+出荷前残金の方式は、双方のインセンティブを調整するための伝統的な仕組みです。サプライヤーは材料確保・ライン確保の資金を得、バイヤーは品質確認後に残金を支払う権利を維持します。

  • *主な失敗要因:PSI(出荷前検査)のスケジュールが遅れ、支払いタイミングがずれること。早く支払えば権力を失い、遅く支払えば関係が悪化し、再作業のループに陥ります。

ケーススタディ:マイルストーン支払いの成功事例

ハードウェアブランドは、複雑な成形品プロジェクトでマイルストーン支払い**を導入。支払いを「T0サンプル承認・金型完成・初品検査合格・PSI通過」の4段階に設定し、各段階で証拠写真と検査報告書を要求しました。

初期はサプライヤーが抵抗しましたが、段階を簡素化し、証拠重視のルールで妥協。結果、再作業時の責任が明確になり、事前に合意した予算内で対応でき、長期的な信頼関係を構築しました。

LC信用状:高額・低信頼取引の安全策

  • *LC(信用状)は、信頼関係が薄い、または高額な取引に適した銀行保証型の支払い方式**です。銀行が仲介役となり、書類が一致した場合に支払いが行われるため、紛争リスクを大幅に低減できます。
  • *必須ルール
  • PSI条項を現実的に設定(第三者検査の実行可能性)
  • 曖昧な表現を排除(銀行は主観的な判断をしない)
  • 変更予算を確保(設計変更時の費用負担)

LCは魔法ではなく、文書の厳格さが全てです。

エスクロー的支払い:TT取引のリスク軽減 低額・中額取引でLCを使わない場合、エスクロー的な仕組みを導入できます。

  • 保留ポイント:品質確認まで残金を保留
  • 共同検査:双方立ち会いの検査
  • 紛争期間:異議申し立ての期限明記

実行可能なルールにすることで、TT取引のリスクを抑え、透明性を高めます。

外国為替・手数料:隠れコストを排除 銀行手数料・仲介費・為替変動の負担者を明確に契約します。「正味価格」に隠れた費用が含まれると、単価のメリットが完全に消えます。

  • 銀行手数料:誰が負担
  • 為替変動:決済レート基準
  • 仲介費:明細化

費用条項を価格条項と並記し、財務部門全体で確認します。

マイルストーン設計:主観を排除し、証拠重視 支払いトリガーは測定可能な成果物に紐付けます。

  • FA報告書:署名済み検査報告
  • CTQ測定:重要品質特性のデータ
  • PSI証明書:第三者検査合格

「満足度」などの主観的基準は禁止し、第三者が再現できる文書を必須にします。

LCとTTの選択:取引特性に合わせ

  • LC:設計変更少、高額、長期プロジェクト
  • TT**:頻繁な設計変更、中小規模、短期プロジェクト

支払いラダー=QCラダーに一致させ、一貫性を保ちます。